【Music】 Gui Boratto / III (2011)

Gui Boratto / III (2011)

ブラジルはサンパウロの Gui Boratto による 3rd。Kompakt から。

2年ごとにコンスタントにリリースを続けての3作目。今回も聴き応えのある内容です。全編通して、低い音域のシンセや重いリズムが深く印象に残ります。不穏な空気もあって、結構な迫力がありますよ。前作までのような、キャッチーなフレーズやきらびやかな電子音による切なげな雰囲気は少々鳴りを潜め、力強くも妖しく陰を帯びた空気が全体を覆っているように感じます。特に後半、ボーカル曲を配しつつ、クラブ仕様の楽曲が続くところは、いっそうの変化をうかがわせる部分となっております。

そんな感じで、全体的な感触は、どちらかというとベッドルームからクラブ寄りの音楽へとシフトしたような印象で、身体を縦に揺らすような楽曲が増えた反面、幅広い楽曲や表情豊かな展開は、少し弱まったかと思います。ライブはさらに良いものになりそうですが、アルバムとしての好みは前作の方が上かもしれません。とはいえ、新しい方向性を取り入れつつも、しっかりと聴かせる作品を作り出したところには、彼の地力を感じました。統一された雰囲気の中でも、色んな音を鳴らしているところは健在といった感じで、やはり面白い音楽だと思いますし、全体の感想としては、とても良かったです。聴き手の側に対するサービス精神というか、バランス感覚をしっかりと持ち合わせているようで、これからも安定した評価を得続けるような気がします。今後の活動にも期待していきたいと思います。

LINUS RECORDS / Gui Boratto : III [CD]

【今後の予定】

音楽記録 Gui Boratto リミックスワークまとめ