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読書、音楽、ゲームなど、エンターテインメント系の趣味について書きます。

【Music】 かせきさいだぁ / かせきさいだぁ≡ (1996/2013)

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ラッパー、かせきさいだぁ(本名:加藤丈文)による 1st。1996年リリースのメジャーデビュー盤が、今年、リマスターで再発されました。

最近、自身のソロ活動だけでなく、でんぱ組.inc への楽曲提供や、小暮晋也とのユニット TOTEM ROCK の再発など、活発な動きを感じる加藤さんです。90年代以降、あまり活動していなかったと思うのですが、なぜ、テン年代になってから急に…? 彼にとって、ゼロ年代は存在しなかったのでありましょうか。ともかく、最近になって急に興味を持ったので、手にとってみました。ちゃんとアルバムを聴いたのは初めてです。

 

全体の感想については、妙に懐かしさを覚える心地よさと、ふわふわとした不安な感覚が同居する、不思議なラップが全編に流れる、不思議な作品でした。かせきさんのラップは、ゴキゲンでお気楽な内容でありつつ、刹那的でなんだかちょっと寂しさを覚えたりする感覚。歌詞というより「詩」といったような感じで、韻をあまり踏まないのに、重層的に意味を持っているようにも感じられます。歌いまわしやトラックはけっこう暗めで、妙に落ち着かない印象を抱かせたりもする。聴き心地よくおしゃれなポップミュージックという、聴く前に何となくもっていた偏見を、よい意味で拭い去ってくれました。リラックスして聴いたり、興奮したりしながら、最後まで飽きずに通して聴けて、繰り返し聴くたびにその様相が変化します。

 

ライナーノーツを見てたら、参加アーティストがけっこうなメンツでした。共同プロデュースはタケイ・グッドマン。小暮晋也(ヒックスヴィル)、坪井千冬(イリシット・ツボイ)、川辺ひろし(TOKYO No.1 SOUL SET)、ホフディランの2人、亀井雅文(かせきさいだぁの前身 TONEPAYS)、多摩川貞夫(誰なんでしょう? ネットではスチャダラパーのシンコって噂を見かけますが)が作曲。また、カジヒデキがベース弾いてたりします。

 

個々の楽曲について。

M-1「さいだぁ≡ぶるーす」は、サイダーのブクブクシュワーから幕を開けるのです。軽やかなギターに軽やかなラップ。そして女性コーラス。聴き心地が抜群によいです。

M-2「相合傘」は、1曲目からそのままなだれ込む、素晴らしい楽曲。ベースを強めに前に出したトラックに、スピード感のあるラップが乗っかってきて、興奮します。雨なのに銀河? とか、途中の語りは何だ? とか思う間もなく、愛相合傘、会い相合傘の洪水に飲み込まれていく(勝手に当て字)。すごい。個人的にはアルバムの中のベストトラック。

M-3「土曜日のかせきさいだぁは、さいだぁぶるーすのような心地よい曲です。序盤3曲の勢いは相当なものがあります。

M-4「苦悩の人」M-5「近未来をぶっとばせ」M-6「TONEPAYS GUITAR」は、前身バンド、TONEPAYS の曲らしいです。他の曲とはだいぶ装いが異なっていて、楽曲の雰囲気がかなり暗め。下向きで落ちていくような感覚とか、攻撃的なギターが印象に残ったりとか、ちょっとドキッとするような(中二的な)詩とか。中盤でちょっと勢いが落ちているはずなのに、別の聴きどころを持ってきていて上手いなぁと思います。

M-7「水色のいろおぜ」は、ホフディランのユウヒが作曲で、ベイビーも参加してます。ラップではなく、普通のうたです。曲自体は、サイケデリックでほのぼのとした眠い曲ですが、ライナーにある、「遂に歌ったね。」「あぁ……。」っていうやりとりが面白いです。

M-8「冬へと走りだそう」は、ワタナベイビー。また軽やかなラップが戻ってきます。ふわふわとした電子音が心地よく、畳み掛けるようなラップなのに、リラックスして聴ける。

M-9「夢の夢の夢の夢」も、ワタナベイビー作詞作曲です。ベイビーっぽい! 以上。

M-10「ディグ・ダグ・プーカ」のタイトルは、ナムコのゲーム「ディグダグ」からです。「プーカ」はディグダグの敵キャラです。曲は、バックがにぎやかで楽しい曲です。ラップのアルバムって、1曲くらいはこういう風に制作者側がわやくちゃで楽しい曲があるような気がする。ところでライナーにある、「そう。ここでこの曲。スゴイよね、川辺君」の意味がわからない私です。サンプリング?

M-11「じゃっ夏なんで」は、タイトルは走り出しそうな感じですが、しっとり落ち着いたトラックに、抑え気味のラップが乗っかる曲です。夏の夕方~夜、暑さを引きずりつつも、涼しげな風が吹き込んできたりする、そんな雰囲気の夏だと思いました。遠くで祭りの音が聞こえる。

M-12「HAPPY END」は、インスト。アコギにしんみりします。音色は夏の暑さをあらわすかのように、サイケデリック。

M-13「冬へと走り出そう・再び」は、小暮晋也バージョン。ギターの代わりにピアノを入れてます。かせきさん自身も言ってますが、こちらは冬っぽい。だいたい、小暮晋也が絡むとこんな風に、いかにもかせきさいだぁって感じの曲になる気がいたします。名コンビということか。それよりもタイトルが! でんぱ組.inc「冬へと走りだすお!」と無関係であるはずがない。あと、「二十を過ぎた自慰行為」って言葉を使いすぎ(他曲にも出てきます)。

 

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あと、初回限定として、デビュー前のデモテープ『淡水魚水族館にて』から11曲(34分)収録された CD-R が付いてきました(私は楽天で探しました。Amazon は記載がなく、付いてるかどうか不明)。1st で仕上がる前の荒削りな曲が並んでますが、これはこれでいいです。

 

以上です。初めて聴いたのに懐かしい。享楽的でありつつ、切なさ(刹那さ)を感じさせる楽曲に魅せられました。とてもよかったです。最近の作品も聴いてみようかと思います。

 

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余談ですが、アルバムには特典として、「ハグトン」バージョンのジャケットと、小説「さいだぁ先生」ミニブックが付いてきました。いずれも、かせきさんの音楽面以外の活動ですね。

ハグトン|ロックンロールニュース

さいだぁ先生

 


06_冬へと走りだそう_(Original_Full_Version)


かせきさいだぁ 冬へと走り出そう 再び


【世界初かも!?】でんぱ組.inc「冬へと走りだすお!」Full ver.