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【Art】 アーティストファイル2013 @ 国立新美術館

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国内外で注目すべき活動を展開する現代作家を取り上げ、個展形式で紹介する「アーティスト・ファイル」展。8名(うち3名は海外)の作家が参加。個人的には志賀理江子さんの作品が見たかったので行ってみた次第ですが、どの展示も楽しめました。見た順に感想を。

 

ヂョン・ヨンドゥ(韓国)。子どもが描いた絵を(なかば無理やり)再現した写真を展示。波乗りをイメージしてるっぽいけど空中に浮かんでいたり、傘の柄が異様に太かったり、頭から3本のトゲが生えていたり(王冠と思われる)、忠実に再現してるところがどことなくシュールで面白かったです。もうひとつの展示は、老人の思い出話をもとに再現セットを作りあげる映像作品。こうした「再現」の過程を表現する、という作風なのかなと思いました。

 

東亭順。使い古しのシーツのしみを浮かび上がらせると同時に、しみの無い部分を壁に刺したピンで表現したもの。作品そのものというよりは、背景とか作成過程を楽しむ作品なのかなという感じでした。個人的には直接伝わってこない作品はちょっと苦手であります。

 

國安孝昌。土を焼いて作ったブロックと、丸太の山をダイナミックに組み合わせた巨大な作品。この部屋だけアウトドアなにおいが充満。「Innner Kingdom 2013」という作品名にふさわしく、中心に向かっていくうずの表現が迫力満点でした。とてもよかったです。

 

中澤英明。子どもの正面絵をひたすら描きまくり。いずれの作品も真正面を向いて、じっとこちらを見つめている。透き通るような目に引き込まれました。たまに「八重歯」とか「虫歯」という作品があり、かといって歯を見せたりしているわけではないところが謎です。虫歯が痛そうな表情だったかというと、そういうわけでもない。

 

利部志穂。部屋全体がひとつの作品。部屋の中に、直線や図形、鏡、紙細工、針金のかたまり、雑貨などがぽつぽつと配置されており、その中を歩いていくと、視点がズレていってさっきとは異なったものに見えてくる。不思議な酩酊感がありました。とても面白かった。

 

ナリニ・マラニ(インド)。アクリルパネルに女性を描いた連作と、5つのシリンダーを中心で回して影絵のように部屋全体に映し出す作品を展示。描かれる内容は、女性差別とか、暴力などといった過激な内容でした。訴えたいことに対する作者の強い意欲とテーマ性を感じる。

 

志賀理江子。今回のお目当て。写真のパネルを迷路のように入り組んで立てかけた展示です。壁かけではなく直置き。まるで瓦礫のようだと、部屋に入った瞬間に呆然となる。そして写真の作風が、以前よりもかなり暗くなったように感じます。否応なしに3.11をほうふつとさせる写真や展示手法ではないでしょうか(志賀さんは2008年から宮城県の海沿いの集落に暮らしています)。2011年以前の作品も展示されているのですが、これまでとは違った意味をもって訴えかけてくるように感じた。圧迫感切実さといったものが、より直接的に胸に迫ってきました。すばらしかったです。

 

ダレン・アーモンド(イギリス)。祖母が昔に思いを馳せる心象風景を表現した映像作品と、満月の夜に月光だけで風景を撮影した写真を展示。とくに後者が印象に残りました。流れる川や揺れる木々が幻想的で思わずみとれます。滝の写真は虹まで出ている。真夜中の虹。よかったです。

 

以上です。いろんなアーティストの顔見世的なイベントという感じですが、新作展示もありますし楽しめました。尚、3月23日(土)は、六本木アートナイト2013」の一環として入場無料だそうです。おススメです。

 

アーティスト・ファイル 2013

 

国立新美術館 | 六本木アートナイト Roppongi Art Night