2019年間ベスト本10選
前口上
2019年に読んだ本で印象に残ったものを選出しました。
新刊ばかり、というわけでもないです、多いけど。
今年に入ってから、個人系書店によく行くようになったこともあり、同人誌とかも多く入っています。あと紙の本を読むことが多くなった、というか、そういう書店でばかり買っていた。
印象に残った順です(カウントアップ方式)。
小野寺伝助 『クソみたいな世界を生き抜くためのパンク的読書』
パンクの価値観・精神にもとづいて本を読む。採り上げられている本だけでなく、その姿勢そのものにいたく感銘を受けました。私の読書人生、「クソパン以前・以後」となるかもしれない。それくらいインパクトがあった本。
多田尋子 『多田尋子小説集 体温』
書肆汽水域の「再発見」により刊行。ひとりの女性が、いわゆる普通の生活からズレつつも、その人なりのしっかりした生活を送る。その生活のきめ細かい描写と、思考の濃密さ、つきそうでつかない大人の距離感。再発見した書肆汽水域もすごい。
鴻上尚史 『「空気」を読んでも従わない』
Web の人生相談がすごいと思っていた鴻上さんの本。日本を「世間」と「社会」に分解してみせ、生き苦しさからラクになる方法を説く。もやもやしてたことがスッキリと見えてくる感覚があった。子どものためにも読んでよかったと思う。
青木 真兵・海青子 『彼岸の図書館』
奈良県東吉野村で人文系私設図書館「ルチャ・リブロ」をいとなむ夫婦による本。都会で疲弊し地方に「引っ越し」したことや、自宅を図書館として住み開きしていることなど、「自分たちはどう生きるべきか」をよく考えた結果として選んだ生活、という感じがしました。まさに地に足が着いている。
斉藤倫 『ぼくがゆびをぱちんとならして、きみがおとなになるまえの詩集』
詩の誕生を描いた作品、と私は読みました。詩になる前の、ことばの断片について考え、こころに留め置く。これまで詩のない人生を送ってまいりましたが、今後はおおくふれていきたいと思います。
スズキナオ 『深夜高速バスに100回ぐらい乗ってわかったこと』
水曜どうでしょうファンが衝動買いしそうなタイトル(私だ)。地元に古くからある系飲食店の食レポや、誰もが思いつきそうだけどやらない自由研究ネタなど詰め合わせ。めちゃくちゃ面白くて、時には感動的ですらあった。なぜだ、始終飲んでるだけなのに。これが文章力か。
松居直 『絵本を読む』
子どもに絵本の読み聞かせをしているので、関連本をよく読みます。本書は、「かわいい」に関する見解が秀逸だった。子どもはかわいくなりたいとは望んでいない(早く大人になりたい)、大人にとって後ろ向きな感情だという指摘。確かに。力強い絵本はいいですよね。
オカヤイヅミ 『ものするひと』
マンガ。警備員アルバイト兼純文学作家の日常。生活することすべてが「ものする(書く)こと」につながっている感じがよかった。ちょうど、文芸誌を読み始めたところだったので、深く刺さりました。なお文芸誌は、今後も毎月選びながら読んでいきたい。
『つくづく TUKZUK vol.1』
インディーズ雑誌。「みんなの自由研究」として自分の好きなことを詰め込んだ内容。「自由研究はカラーボックス」との言葉どおり、斬新でもなく究極的でもないが、どの研究も研究それ自体を楽しんでおり、すごく面白く、いたく感動した。まさに本来の「雑誌」の姿ではないだろうか。
僕のマリ 『まばゆい』
僕のマリさんは、上で紹介した「つくづく」のエッセイで知った書き手さんで、セブンイレブンのネットプリントにエッセイを上げたりもしている。
本書は短篇集で、生活のリアルさや複雑な感情が、素晴らしく読みやすい文章で表現されており、かなりハマりました。この後、他の作品も全部取り寄せて読むことになる。
来年には、どこかの文芸誌とかに登場しているかもしれないです(本人がそれを望むかはわからないけど、期待はされる気がします)。
以下、他に良かった本。名前だけでも挙げさせてください。
ヒュー・ロフティング 「ドリトル先生」シリーズ
西前四郎 『冬のデナリ』
三遊亭円丈 『師匠、御乱心!』
藤村忠寿 嬉野雅道 『仕事論』
フジタ 『ファミコンに育てられた男』
積読について
積読本を供養するため、積読について note に書いています。
続くかは不明だが、積読自体が永久に不滅なので、続こうと思えば続くな…。
積読をめぐる、どうでもいい思索の数々をものしていく予定。
とはいっても最近は、なるべく本をためないようにはしています。
読んだらすぐスキャンして処分とか、そもそも電子書籍で買うとか(結局積んでる)。
これで減るだろうか…。
本屋について
今年、個人系書店をよく訪れるようになりました。
H.A.Bookstore(蔵前)とか、双子のライオン堂(赤坂)とか。
ベストに選んだ本も、H.A.B が3冊、ライオン堂が1冊、ハックルベリーブックスが2冊(自分で注文した本ですが)、タコシェが1冊、本屋lighthouse(通販)が1冊と、そういう本屋さんで買ったものばかりです。
本屋日記をつけているので、来年以降もこの傾向は強まると思われる。
日記をつけるからいろんな本屋に行くという、逆の話になっているが気にしない。
以上です。来年も素敵な本に出会えますように。