2019年間ベストアルバム10選
前口上
久しぶりに年間ベストを選びました。
後半、サブスクで本格的に聴くようになったのが大きいです。利用サービスは、Google Play Music → Amazon Music Unlimited → Spotify と流浪の旅でしたが。
前半に聴いたのがほとんど入ってないのは、実際にほとんど聴いてないからです。あともう忘れてる。
Instagram/Twitter に記録を残すようにしたのが、うまく回るようになったきっかけかも。感想は適当ですが、記録することで溜め込まずに次に進むことができるのです。
だいたい良かった順です(カウントアップ方式)。
Brandt Brauer Frick / Echo
Daniel Brandt, Jan Brauer, Paul Frick の3人組による 5th。それぞれの名前を付けてのバンド名。テクノ、ポストロック、エクスペリメンタル。実験性と親しみやすさが高いレベルで共存している。最高。
Chris Korda / Akoko Ajeji
原初的な衝撃のあるテクノ(デトロイトテクノ寄り)が、現代版にアップデートされた感じのテクノ。複雑なリズムを聴きやすく仕上げる緻密さ。最高。
本人は、反出生主義者とか安楽死教会のリーダーとか、謎の人。アルバムも16年振りだし、サブスクには無いし。
Grischa Lichtenberger / Re: Phgrp
フリージャズ Philipp Gropper's Philm "Consequences" をリワーク(電子的に再構成)した作品。という説明を聴いただけで興奮してしまうような自分には最高の作品でした。
来年は、Raster (ex Rastor-Norton) レーベルを追いかけてみたい。
The Messthetics / Anthropocosmic Nest
Fugazi のベース (Joe Lally) とドラム (Brendan Canty) に、エクスペリメンタルでジャンクでエモいギター (Anthony Pirog) が乗っかるというメンバー構成。ヒリヒリしたハードコアな空気が流れている名作。やはりフガジ周辺、追いかけないとなー。
Placid Angles / First Blue Sky
John Beltran による古風なアンビエント・テクノ。本人名義作はかなりアンビエントによっていたので、22年振りにこの名義で作品を出した意図みたいなのが何となくわかった気がした。
最近、アンビエントとテクノをブレンドした感じの音楽が好きです、というか、なんだか流行ってませんか?
Floating Points / Crush
ざっくりとらえると、ダンサブルなエレクトロとアンビエントをいったり来たりする感じ。聴きやすさと実験性の組み合わせとか、音楽的要素がめいっぱい詰め込まれている感じとか、サービス精神豊富な傑作だった。まさに才能が開花したって感じ。
Araceae / Resonance of the Absolute
音楽を聴くのに、季節感とかその日の気分とか、そんな自分ごとはどーでもええねん、音楽に失礼やろ、と思っていた時期が、私にもありました。今はまったく思っていません。
今年の夏は暑かったなーと、この作品を聴きながら思い返していました。環境系テクノ/アンビエント。涼しい。
別名義の Uun もがっつり聴いてました。こちらはヒプノティックでハードなテクノ。
Shed / Oderbruch
今年はレーベルを意識して聴くようにしていて、かなりウマが合うなと思ったのが、この作品も出している Ostgut Ton レーベルでした。テクノ系。Planetary Assault Systems (Luke Slater) とかも良かったですねぇ。Shed は、これもアンビエントなテクノでとにかく聴き心地が良かった。こういうのを聴きながら黙々と本を読む生活。
Thomas William Hill / Grains of Space
ポスト・クラシカルって言われて、私がイメージしていたそのままの作品が、数年越しにやっと聴けたって感じでした。なんか、ピアノ系が多いんですよね…ポスト・クラシカル。嫌いではないのですが、もっとクラシカルな音が満載の方が楽しいじゃないか。好き。
Kolsch / fabric presents Kolsch (DJ Mix)
DJ Mix とありますが、全部自身の新曲をノンストップミックスしている。つまり新譜ってことだ。
Kompakt ならでは(このアルバムは Fabric ですが過去作はすべて Kompakt から出てる)の洗練されたテック・ハウスです。絶対一枚くらいベストに入れたくなる感じでした。
番外:スピッツとピロウズ
サブスクで過去のカタログをまとめてさらう、という聴き方がサクッとできるようになりました。マジ天国。
というわけで、スピッツとピロウズを聴き、プレイリストを作りました。
モーメント機能というものを使ってツイートをまとめてみた。
来年も誰かでやる予定。ひとつは決まっている。
余談:サブスクで新規開拓ができるのか(できない)
サブスクの恩恵をめいっぱい受けながら、こんなことを考えていました。
サブスクでたくさん音楽聴くようになったけど、色々聴くというよりジャンルを深堀りしているばかりになっている気がする。意識して横に広げないと新しいジャンルに踏み込まないな…。
— アキウ (@akiu) December 9, 2019
そういう意味ではたくさん聴いて、カタログ網羅したい欲は満たされるけど、「聴いたことのない音楽」への欲求は特に高まっていない気がする。ホントは越境するハードルも低くなってるはずなんだけど。
— アキウ (@akiu) December 9, 2019
サブスクで「新しい音楽」に出会うには、やはり SNS などによるコミュニティの広がりがないと無理だなーと思います。自分の守備範囲外のところからおススメをぶっこんでくれる存在。ブログや SNS でレビュー書いてくれる人、いつもありがとう。
あと、毎月2~3枚を「定期便」としておススメ投下してくれる Linus Records にはお世話になりっぱなしです。CD はもう厳しいけど、レコードがけっこうきている気もするし(CD 出さずに、ダウンロードとレコードで販売、というアーティストも多い)、フィジカルは(その役割を変容させつつも)まだ終わらないのではないでしょうか。
これからも、皆さんの声を拾えるように、アンテナだけは高く上げておきたいと思います。
余談が一番長かった。おしまい。
本屋めくり記 2019年11月
本屋を訪れて買い物をした日記をつけることにしました。
タイトルの「本屋めくり記」は、本のページをめくるように本屋をめぐるということです。スマホで書き間違えたときに「おっこれいいな」と思ったわけじゃありません。
本屋にはよく行きます。
学生時代などは、本を読んでいるより、本屋にいる時間の方が長かったのではないか。
だから積読が増えるんですよ。
今はそうでもない。なんだこの話。
1ヶ月分まとめて更新する予定。
今回は2019年11月分(ちょっと10月分もあり)です。
10月31日
H.A.Bookstore(蔵前)にて。
- 早助よう子 『ジョン』
- 多田尋子 『体温』
- 本好きあるある栞 置き場所のことなんて考えない
H.A.B は月イチペースで通っています。うまく言えないけど棚の感じが自分にとてもよくあっていて、ここの本を買っていれば大丈夫だな、という安心感がある。
「【パネル展】本屋の棚、店主の営み。」を鑑賞。
『街灯りとしての本屋』未収録写真の展示です。
よかった。
11月3日
smokebooks みのり台店にて。
絵本やアート中心の新刊/古書店。
子どもを連れてよく行きます。遊べるスペースもあって居心地がよい。
ジンジャーエール(瓶)をあの冷蔵庫に入れて売っているので買って飲んだ。
最近、駄菓子まで導入されたので、ますます居ついてしまいそうである。
「月と糸 カレンダー 藤井千晶 原画作品展」を鑑賞。
入り口付近がほぼ展示スペースになっていておもしろかった。
11月7日
近所の本屋にて。
- 「群像 2019年12月号」
- 「すばる 2019年12月号」
文芸雑誌は月2冊程度読んでいます。それ以上は読み切れん。
本屋で現物を見てから、買う物を決めるのである。
11月14日
双子のライオン堂(赤坂)にて。
- 「しししし 1」
- スズキナオ 『深夜高速バスに100回ぐらい乗ってわかったこと』
前から行きたかった本屋さんに行きました。
入り口のドアは本の形、靴を脱いで店内に入るというおもしろい体験。
著名人などの選書棚が集まった本屋、ということで色んな人の思想が棚にあらわれていて、その細切れな棚構成にじゃっかん混乱しつつも、良い本に囲まれているという感覚自体は心地よかった。私自身は、店主の棚をじっくり見たい人間ではあるけども。
双子のライオン堂は、本屋のみならず、雑誌を作ったりイベントをやったりとすごい活動的なので、これからも頑張ってほしい。
11月16日
ハックルベリーブックス(柏)にて。
- ぼくがゆびをぱちんとならして、きみがおとなになるまえの詩集
- 「空気」を読んでも従わない
- アスターシャ、どこ?
- アドベントカレンダー
上ふたつは注文しておいたもの。なんとなくここに置いておいてほしいな、という本を注文するようにしている。アスターシャは版元品切れの貴重本とのこと。息子が表紙見て決めた。クリスマスのアドベントカレンダーは毎年恒例。
息子(6歳)の読書はそろそろ幼年童話にシフトしてきており、ハックルベリーブックスはまさにその辺りの本がとても良い品揃えなので、これからますます活用しそうです。
11月23日
smokebooks(みのり台)にて。
- はみがきれっしゃ しゅっぱつしんこう!
- 2020年ツッチーカレンダー
- コーラ(瓶)
ここにくると妙に幼い子向けの本を欲しがる、6歳の息子。と思ってたら、いきなり「たくさんのふしぎ」(小3から)を手にとったりもする。まあ対象年齢はひとつの目安でしかないですけどね(いきなり難しいのはさすがにキツいけど)。
カレンダーは土橋とし子作。色使いがアヤしげでキュート。関東圏ではここでしか扱っていないらしい(って言われると欲しくなっちゃうんだよなぁ)。
この日はコーラ飲んだけど、そろそろ寒くなってきましたね…。
にゃむにゃむ ミヤウチハルカ 作品展を見た。
nyamunyamu — “空を見上げたら” にゃむにゃむ ミヤウチハルカ個展 今日から始まりました...
素敵なニッティング作品。
ご本人がいて、息子が制作期間について質問していた。正確には、「いつできたの?」→「いつから始めたの?」。意外とまともな質問。
11月24日
真光書店(調布)にて。
ゲゲゲ忌なので、ブックカバーが鬼太郎仕様だった(ので買ったのだった)。
ゲゲゲ忌は、昨年初めて行き、スタンプラリーで無理をしすぎたせいか、帰ってから妖怪にとり憑かれてしまい(体調を崩してしまい)、一ヶ月以上も具合が悪いままだったので、今年はスタンプラリーせず、行きたいところに数箇所行ってすぐに帰りました。しかし結局、妖怪にはとり憑かれてしまうのであった…(なんとか一週間で回復してきたが)。
おしまい。
2016年印象に残った15冊
はじめに
2016年に読んだ本で、印象に残ったものを挙げていきます。
例年の読書メーター企画に乗っかったものです。
印象に残った順です。
2016年は、後半はあまり読書がはかどらず、ペースがあがりませんでした。
そのせいで、積読がますますひどいことに…。
あと、小説読まなさすぎ(けっこう買ってるのに…)。
中野美和子 『赤ちゃんからはじまる便秘問題』
子どもの便秘に悩まされていた私にとって、救いの神となった本。
とても気が楽になると同時に、しっかりと問題に向き合って、前向きに取り組めるようになりました。
実際に、まだ完治はしていませんが、症状はかなりよくなっています。
実用的という意味で、一番勧めたい本かもしれません。
『世界を変えるデザイン2 スラムに学ぶ生活空間のイノベーション』
世界を変えるデザイン2――スラムに学ぶ生活空間のイノベーション
- 作者: シンシア・スミス,Cynthia E. Smith,北村陽子
- 出版社/メーカー: 英治出版
- 発売日: 2015/10/14
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2016年は、ソーシャルデザインについて、大学で学ぶ機会に恵まれました。
様々な出会いもあり、大変充実していたと思います。
本書はそこで紹介されていた本。
スラムの生活空間に対するアイデアがたくさん紹介されているのですが、ぶっつぶして再開発、とかではなく、そこに住む人たちの生活を尊重しながら出てくるアイデアっていう在り方が、素晴らしかったです。
ソーシャルデザインについては、2017年も引き続き、学んでいく予定。
石橋毅史 『まっ直ぐに本を売る』
出版業界が話題になる昨今ですが、2016年は「取次」にスポットがあたった年だったと言えるかもしれません(老舗取次の破綻が大きな契機か)。
既存の大手取次を介さず、「直取引」で書店へ本を卸す、「トランスビュー方式」を紹介した本書に、出版業界の新しい可能性を見ました。
「HAB」最新号や、「ユリイカ」出版の未来特集も良かったです。
石川直樹 『ぼくの道具』
写真家、石川直樹による、究極の道具本。
別にエベレストにアタックするつもりはありませんが、使い込んでいる道具を眺めているだけで、どうしてこんなに興奮するんでしょうか。
高城剛『LIFE PACKING』の続編とあわせてどうぞ。
LIFE PACKING2.1―未来を生きるためのモノと知恵―
- 作者: 高城剛
- 出版社/メーカー: パブラボ
- 発売日: 2016/08/08
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ベニー松山 『風よ。龍に届いているか』
小説はこれくらいしか読んでない。
伝説のウィザードリィ小説、Kindle 化されたのでついに読めました。
ゲームのネタを仕込み、独自の解釈を発展させて世界設定を作り込み、その設定を基に、濃密な文章とクライマックス的な展開をこれでもかと詰め込んで、物語を転がしていく。
最高の二次創作と言えるでしょう。
前作、『隣合わせの灰と青春』もよかったです。
印南敦史 『遅読家のための読書術』
遅読家のための読書術――情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣
- 作者: 印南敦史
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2016/02/26
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一字一句読んで、あますところなく読み込まなければならない。
そう思っていた時期が、私にもありました。
そんなことしたって、覚えてられないのにねぇ。
音楽を聴くように、本を読む。
気が楽になります。
岩村充 『中央銀行が終わる日 ビットコインと通貨の未来』
ビットコインをちょっと勉強する羽目になったのですが、いくつか読んだ関連書籍の中で、もっとも印象に残った本。
「マイナス金利付きデジタル通貨」は、強烈なインパクトでした。
ビットコインの技術(ブロックチェーン)を使ったサービス、本当に出てくるのかなぁ。
マイケル・ルイス 『マネー・ボール』
マネー・ボール〔完全版〕 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
- 作者: マイケル・ルイス,中山宥
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2013/04/10
- メディア: 文庫
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データ野球とひとくちにいっても、何をもって客観的なデータとするか、ということが大事だという話。
リーグ戦には強くても、短期決戦のプレーオフに勝てるとは限らないところも面白いです。
マネーボール以降のデータ野球ってどんな感じなんだろう?
村上由美子 『武器としての人口減社会』
武器としての人口減社会 国際比較統計でわかる日本の強さ (光文社新書)
- 作者: 村上由美子
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2016/08/17
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少子高齢社会への道を突き進む日本を各種統計から分析し、解決策を探った本。
問題のあぶり出しについては、とても有効な本だと思います。
解決策は提示されていないので、これを元に色々考えていきましょう、という内容。
でもそれでいいと思います。
三木清 『人生論ノート』
哲学ノート。
メモをとりながら、「三木清『人生論ノート』ノート」というまとめをつくったのが、自分の中でもよかったです。
今、エントリを読み返したら、毎年やろうかなって書いてあるな…。
やるか。
都甲幸治ほか 『きっとあなたは、あの本が好き。』
きっとあなたは、あの本が好き。連想でつながる読書ガイド (立東舎)
- 作者: 都甲幸治,武田将明,藤井光,藤野可織,朝吹真理子,和田忠彦,石井千湖,阿部賢一,岡和田晃,江南亜美子,今井キラ
- 出版社/メーカー: リットーミュージック
- 発売日: 2016/01/25
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ひとつの本をネタに、これを好きな方はこの本もおススメです、的な連想で、本を次々と紹介していくトークライブ。
読みたい本が増えすぎて困りました。
都甲さんが紹介する海外文学はどれも面白いですよねぇ(あまり読めていませんが…)。
能田達規 『マネーフットボール』
サッカー版「グラゼニ」。
ボール奪取1回で何万円とか、そういう話に加えて、Jリーグを知り尽くした作者の細かいネタが最高な作品でした。
次回作にも期待いたします。
F.L.アレン 『オンリー・イエスタデイ』
オンリー・イエスタデイ―1920年代・アメリカ (ちくま文庫)
- 作者: F.L.アレン,Frederick Lewis Allen,藤久ミネ
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1993/03
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1920年代アメリカ、「狂騒の20年代」の社会史。
繁栄と、その裏側にある差別などの要素との表裏一体感が興味深かったです。
なんか浮かれてると、細かいけど大事なことを見過ごしてしまうっていうのが、なんかとてもよくわかる感じ…。
ひじかた憂峰(作)松森正(画) 『湯けむりスナイパー』
ひじかた憂峰(狩撫麻礼)原作によるマンガ。
続編含めて全巻、一気読みしました。
エグ味のあるドラマと、変な幻想性との組合せが、味わい深くじわじわとハマりました。
やっぱり狩撫麻礼、最高や。
路上文学賞 受賞作品集
ホームレスの方を対象とした文学賞。
星野智幸氏が関わっていて興味を持ち、クラウドファンディングで出資したところ、冊子をいただけました。
力強い言葉が並んでいます。
ちなみに、サイトから PDF で全部読めます。
以上です。
2017年もよい本に巡り会えますように。
おしまい。