【Music】 British Sea Power "Do You Like Rock Music?"

ブリティッシュ・シー・パワーなんて、過去作を聴いたかどうかも記憶があやふやで、正直に告白すると名前すら忘れかけていたバンドなのですが、この新譜には、3作目にしてまさかこんな作品を出してくるとは、という感じで、とても興奮しました。元 Arcade Fire や、Godspeed You! Black Emperor の人脈を連れてきているそうで、音についても、思いっきりその方面にシフトしています。つまり、叙情的な UK ロックに、荘厳な轟音系ポストロックや柔らかい US インディの要素をガンガン振りかけたような感じです。のっけからギターがノイズを巻き散らしながら広がりを見せますが、よくある下向きのシューゲイザーではなく、高らかに上っていく壮大な心地良さがあると思います。そこから、ギターロック的楽曲を畳みかけていく構成は感動的ですらありますね。自意識をより外側に向けるようになった、とでも言いますか。強力な解放感でもって、タイトルに代表されるような、若干イタいテーマに対する開き直りのようなスタンスすら感じられて、見事に思いきって跳んだなという印象です。サウンド自体は、そうした要素が必ずしも融合しているとは言い難い面もあり、曲毎にやや散漫な印象で、トータル的にはもっと上がっていけるだろうというもどかしさも覚えます。そこも含めて、今後に期待したいです。とにかくこの作品にはガツンときました。インパクト抜群であります。

Do You Like Rock Music