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【Music】 Peter Gabriel / Scratch My Back (2010)

 

ピーター・ガブリエルによる2010年リリースのカバーアルバム (8th)。

 

かなり最近の曲も入っていて、ちょっと驚くような幅広い選曲であります。しかしながら、音楽は、全編オーケストラによる、統一されたアレンジで、他は彼の歌声のみという構成です。映画音楽のような壮大さを演出しているオーケストラアレンジは、確かに物珍しげではありますが、正直に申し上げれば、単調で、通して聴くに耐えません。仰々しさそのものに、飽きてしまうという感じ。何より、それぞれのカバー曲に対する、「何故この曲でなければならなかったのか」というところが、全くもって見えてこないのであります。どうして元曲を活かすことなく、共通のアレンジに仕立て上げているのか、よく分かりません。このように、全く異なるアレンジで楽曲から別の表情を浮かび上がらせる手法も、カバーにおけるひとつの形と言えるかもしれませんが、前述したような全体の統一感からは、こんな音楽も一応聴いているんですよ、とでも言わんばかりの、一種の押しつけがましさしか感じられませんでした。

 

というわけで、不満です。彼の作品はほとんど聴いてきてないのですが、従来のファンの方は、この作品をどう捉えたのでしょうか。気になる。元曲が持つ音楽性と、時に協調し、時に闘いながら、自分の音楽性との相乗効果でもって楽曲を高めていく。例えばジャズにおいては、私が言うまでもなく当たり前のように行われていることだと思うのですが、この作品からはそうした要素が感じられなかった。かなり丁寧に時間をかけた良質なアレンジであっても、なぜカバー集でなければならなかったのか、というところが解消されない、もやもやとした気持ちのままでは楽しめません。残念です。

 

Scratch My Back

Scratch My Back