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【Music】 川口義之 with 栗コーダーカルテット & 渋さ知らズオーケストラ / 渋栗 (2009)

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はじめに。年始にやっていた「大人のピタゴラスイッチ」の音楽が「渋栗オーケストラ」でおおっと思ったので、久しぶりにこのアルバムを引っ張り出してきました。栗コーダーカルテット(以下、栗Q)と、渋さ知らズによるアルバム。共通のメンバーである川口義之を中心に、お互いの曲をカバーしたアルバムです。サブタイトルは「渋さ plays 栗コーダー栗コーダー plays 渋さ」。

全体的に。タイトルどおりの企画盤です。最大の音圧と最小の音圧が入れ替わることで、不思議な音楽となっております。私は栗Qの音楽はほとんど聴いてきていないため、渋さ側に寄った感想になってしまいますが、渋さによる栗Qのカバーはどの曲もまさに「渋さ知らズだなぁ」という感じ。軽やかなメロディーが勢いとスピード感をもって駆け抜けます。いっぽう、栗Qによる渋さののカバーは、渋さのキラートラックをほのぼのカバーしていて面白いです。のどかな雰囲気に包まれていて、不思議と笑いがこみ上げてくる感じ。

個々の楽曲について。特に印象に残った曲を挙げます。M-1「ピタゴラスイッチオープニングテーマ」は、おなじみのピタゴラテーマを渋さが豪快にカバーした名曲です。30秒の曲ですが抜群のつかみ。M-2「マヨネーズ第二番」はものすごいスピードで駆け抜ける爽快な曲。ピアノのフリーなソロが素晴らしいです。M-3「本多工務店のテーマ」、M-5「ナーダム」は、栗Qによるほんわかとしたカバーですが、実は切ないメロディーの本質がかえって表に出てきたような気がして、渋さの楽曲の良さをあらためて認識した次第。M-7「Up On A Moon Hill ~桂林を下って月の丘に昇る~」はどっしりした演奏でかっこいい渋さを堪能できます。サックスがかっこいい。M-9「海を渡る風」はピアノの旋律がとにかく美しい、静かだが力強い楽曲。お互いのバンドの違いを意識したところとは別の要素でガツンと来るカバーを持ってきたような感じで、実はこのアルバムの中では一番好きな曲かもしれません。M-10「ひこーき」の栗Qカバーも同様で、元曲よりもテンポは速く、その素朴さが小さな感動を呼び起こします。M-12「月下の一群」でどっしりとした渋さの良さを出しつつ、M-13「ペジエ」のクライマックスで大盛り上がり。気持ちいい。M-14「犬姫」で栗Qが不思議な雰囲気を出しつつ終わります。最後が犬姫っていうのはちょっと面白いセレクトだなと思いました。

まとめ。という感じで、真逆のコンセプトをお互いの曲にぶつけることで、かえって元曲の良さを再確認できた好企画盤だと思いました。渋さにとってみれば、もともと異種格闘技バンドみたいなごった煮感が魅力のひとつでもあるわけで、こうして思い切ったコラボを繰り返しながら変わり続けていくバンドなんだなぁということを、改めて感じました。最近の活動にもつながっていく、良い作品だと思います。ライブ DVD も欲しいぞ。


「渋栗ライブDVD&CD4タイトル共通プロモ映像」