【Music】 センチメンタル・シティ・ロマンス / S/T (1975/2005)
名古屋のロックバンド、センチメンタル・シティ・ロマンス (SENTIMENTAL CITY ROMANCE) による 1st。現在は 1st と 2nd をまとめ、ボーナストラックを付けた『GOLDEN☆BEST』としてリリースされています。細野晴臣がチーフ・オーディエンスとして参加(プロデュースしようとしたらすでに完成されててやることなかったってライナーに書いてあります)。
フジロック2012での完熟トリオのライブが素晴らしかったので、トリオの一角、中野督夫がボーカル/ギターを務めるバンドのアルバムを聴いてみました。だいぶ前ですが、こんな推薦をいただいていたということもあり。
@akiu センチメンタル・シティ・ロマンスの1stなども良いですよ。お薦めです。
— クローカ (@chrorograph) August 2, 2012
全体的には、のんびりしたアメリカンロックって感じです。一聴するとお気楽な感じで気持ちよく聴けるいっぽう、その裏側にある演奏の的確さや、鋭さといった部分が感じられて、時折、目が覚めます。アレンジも完成度が高く、細かい部分まですみずみと聴き応えがあります。
曲調はのどかで聴き心地のよい感じですが、青空がどこまでも抜けていくような爽快さ、というより、湿り気があってどこかしんみりするような心地よさがあります。夏の夕暮れとか、日本のどこかの情景が目に浮かんでくるよう。日本語を重視した独特な言葉の使い方が、そうした印象を抱かせるのかもしれません。
個々の楽曲について軽く触れると、M-1「うちわもめ」がなんといっても印象に残ります。アルバム冒頭を飾るにふさわしい軽快なナンバーで、軽やかなギターや美しいコーラスに魅せられます。そのくせ曲名は「うちわもめ」で、歌詞はべらんめぇ口調。このギャップがいいのかなと思いました。あと「うちわもめ」って字面がいいですね。タイトルが素晴らしい。M-2「うん、と僕は」は、変則的な曲展開が面白い楽曲で、サビに不思議な高揚感があります。以降、中盤はけっこうしんみりと聴かせる曲が多く、小休止。M-6「暖時(くつろぎ)」は間奏が素晴らしいです。オルガンとギターのかけ合いがかっこいい。終盤はカントリー風の楽曲やコーラスの小品を経て、最後の M-11「ロスアンジェルス大橋Uターン」がまたとてもよいです。すごくおしゃれでかっこよく聴かせる楽曲なのに、「へのへのもへじの へそまがり」と始まる歌詞とは。最初と最後が一番よかったかと思います。
そんな感じで、アメリカ西海岸の音楽を自分たちなりに消化した、まさに「日本の」ロックという印象でした。聴けば聴くほど、じわじわとハマってくる。とても良かったです。引き続き 2nd を聴きましょう。
Sentimental City Romance うちわもめ