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【Music】 Mr.Children / 深海 (1996)

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先日、YEN TOWN BAND を聴いてから想い出迷子に入り込んだ挙句、同じ年にリリースされたミスチルのアルバムが無性に聴きたくなったので聴きました。5th。

 

『深海』は、ミスチル初の「コンセプトアルバム」といわれてます。コンセプトアルバムの定義は明確には示せませんが、このアルバムの特徴として、アルバムの雰囲気にそぐわない(と判断したらしい)シングル曲を収録しなかったり、曲同士がつながっていたり、幕間のようなつなぎの曲が多く入っていたり、アルバム全体の雰囲気が陰鬱な感じで統一したように見受けられるところは、コンセプト的な何かなのかなぁと思ったりもする。発売当時も、けっこう暗いアルバムだなぁと思って、私のように何となくもやもやした思いを抱えつつダラダラ生きていた思春期の人間にはぴったりハマっていたような。そういえば SNOOZER で加藤亮太がこのアルバムをほめていたような気がしたけどうろ覚えではっきりしない。

 

あらためて聴きなおしてみると、最初と最後の、まさに深海をイメージしたような楽曲(ちょっとはずかしいほどの深海っぷり)がアルバム全体の色を決定づけしているように感じます。間の楽曲はその雰囲気をまといながらも意外とバリエーションに富んでいて、前半はバランスよく仕上がっているように思います。ただ、後半は、暗くて重い。ずぶずぶと沈み込んでいくようにアルバムが終わるので、その印象をひきずったままで記憶が固定化されていたのだなと思いました。

 

個々の楽曲について。

M-1「Dive」のからの M-2「シーラカンスは、深い水の底のような始まりから、曲調が途中で変化するプログレちっくな楽曲。これを聴くたびに、「21世紀の精神異常者」を思い出します。直接どこが似ている、ということはないのですが、なんとなく…。

M-3「手紙」は、前曲からそのままつながります。しっとりしたバラードで普通によいと思います。

M-4「ありふれた Love Story」、M-5「Mirror」は、歌詞も含めて、このアルバムの中ではいささか軽めな楽曲。上品なアレンジです。小休止って感じ。

M-6「Making Songs」からの M-7「名もなき詩は、懐かしさで何度聴いてもむずむずします。この曲はミスチルの中ではもっとも好きな曲のひとつです。「知らぬ間に築いていた自分らしさの檻の中でもがいている」と思っていた時期が私にもありました。自己憐憫と自己肯定。

M-8「So Let's Get Truth」は、長渕! 以上。

M-9「臨時ニュース」からの M-10「マシンガンをぶっ放せ」は、フランスの核実験にドロップキック(曲が違う)。桜井さん、今の日本はどうなんでしょう。ともかく、個人的にはこれもかなり好きな曲です。アコギが跳ねるアレンジがかっこいい。メロディーへの歌詞の乗せ方も好みです。

M-11「ゆりかごのある丘から」は、ここから急速に重くなります。ゆったりとしたテンポと暗い歌詞。ムーディなサックスが一気に下向きへ引きずり込んでいく。

M-12「虜」は、テンポはそのままに、演奏は激しくなり(キーボードはジャズ風味)、叫びのような歌です。暗いよ。

M-13「花」は、シングルですがこれも変な曲です。Aメロからすでに音程がぐらぐらしてるし。

M-14「深海」は、シーラカンスと対をなすような曲。なぜこんな遠くから歌っているんだろう。歌詞はいくらでも暗い方向に読めるような内容です。ギターやストリングスのアレンジは非常にかっこいいですし、やけっぱち気味の後奏も素晴らしい。しかし、この曲で終わるとは。

 

以上です。久しぶりに聴いたら、自分の中でかなり美化されていた部分もありましたが、後半の変なたたみかけはやっぱりすごかった。いろんな要素があるのでいちがいにはいえませんが、この作品が270万枚も売れたのか…、という感じです。

 


Mr.Children シーラカンス~深海(LIVE)
シーラカンス


King Crimson - 21st Century Schizoid Man