【Music】 ごく自然なバージョンアップ - The Field / Cupid's Head (2013)
The Field / Cupid's Head (2013)
- They Won't See Me
- Black Sea
- Cupid's Head
- A Guided Tour
- No. No...
- 20 Seconds Of Affection
- Mind Mischief (The Field Remix) - Tame Impala *Bonus Track
スウェーデンの Axel Willner によるユニットの 4th。Kompakt から。
最近、この記事が話題になっていたのを思い出しました。
文章を「書ける人」と「書けない人」のちがい | Rootport
アウトプットの背後には、その何倍ものインプットがある、みたいな。
私自身、音楽については最近かなり聴く量が減ってきており、当時の方が良かったかどうかはともかく、書くこと自体には今ほど苦労はしなかったなぁと思いますが、ただの習慣かもしれません。
それはおいといて。
本題。
フィールドの音楽を聴いていて、上と同じように、インプットとアウトプットの関係、みたいなことを思いました、という話です。
2007年に 1st アルバムをリリースして以降、コンスタントに2年ずつ作品を発表している彼。別名義のユニットやリミックス仕事も経ながら、着実に、正確なリズムでキャリアを積んできているように見えます。
今作は、1st アルバム以降に取り組んできたバンドスタイルをいったんやめて、ソロプロジェクトへと回帰した作品とのこと。
かといって、原点回帰とか、過去作との決別とか、デビュー以来の衝撃とか、そういう大仰な感じではなく、ごく自然に、キャリアを総括するような内容になっていると感じました。
音楽面ではこれまでと同様、スロウで情感を感じさせる、ミニマル・テクノ。ループするボイスサンプルや、浮遊感のあるサウンドが全編に流れています。
全体の雰囲気は、これまでの冷たく澄んでいて静かな印象に加えて、どこかざらっとした質感も感じます。
寂寥とか、荒廃、といった言葉が浮かんでくる。シリアスよりの雰囲気。
この辺は、過去作とか、Loops of Your Heart 名義の作品とか、いろんな要素を取り入れていって作り上げているんだろうなと感じるところです。
またいっぽうで、1st から続いているふわふわした感じとか、4つ打ちの軽やかさといったところも健在なので、あまり重くなりすぎずに聴けます。
この辺のバランスもいい感じ。
何より、いろんな音数を増やして豪華に仕上げる、といったことにならず、あくまで自分の流儀、みたいなところからはみ出していないところが、いいなぁと思います。
バンドサウンドとか、いろいろと手を出しつつも、最終的には純粋なミニマル・テクノへと収斂されていく。
インプットとアウトプットのバランス、ごく自然なバージョンアップ、まさに職人技、みたいなことを思いました。
というわけで、今作も安定の出来でした。とてもよかったです。
尚、ボーナストラックはアルバムとしての印象がちょっと散漫になるのでイマイチです(収録時間が長いのも…)。プレイリストからは外しましょう。
LINUS RECORDS/Field : Cupid's Head [CD]
The Field - Cupid's Head "Cupid's Head"