【Music】 Walls / Walls (2010)
Walls / Walls (2010)
ロンドンの Alessio Natalizia と Sam Willis によるユニットの 1st。Kompakt から。
全体的には、暗めのアンビエント・ドローンが半分で、穏やかなエレクトロニカが半分、という感じだと思います。それぞれの曲が交互に並べられており、コンパクトにまとまっている印象です(総時間も30分程度しかありません)。前者はノンビートで、ノイズでギターをゆがませたり、深く沈んだサイケデリックな音を展開したりして、下向きの雰囲気を演出しています。後者は、ゆるめのリズムで、淡く柔らかな電子音をぽわんぽわんと鳴らしつつ、オーガニックな雰囲気を作り出しています。同じ Kompakt からリリースされているフィールドやガイ・ボラットと比べると、ミニマルなストイックさや、クラブ仕様のノリはあまり無く、ベッドルーム仕様でどこまでも聴きやすさ重視といった仕上がりだと思います。一方、交互に配置されている対照的な楽曲は、通して聴くと、ポップで聴きやすくもあるのですが(いささかインディロック然とした佇まいも感じさせるでしょうか)、ちょっと散漫な印象を受け、全体的な印象を弱くしているとも思います。良質ながらも、少しパンチに欠けていると言えるかもしれません。
ということで、聴きやすくて良い内容ではありますが、もう少し方向性がひとつはっきりしていると、強い印象を残す音楽となっていくように思います。ただ、ドローンであることを主張しながらも、同時に聴きやすくもあるというのは、それはそれで彼らの実力ではないかという気もいたします。
LINUS RECORDS / Walls : S/T [CD]
Beatport / Walls : Walls [Digital]
【次回予告】
音楽記録 Walls / Coracle (2011)